松本パルコ跡地、新たな賑わいの拠点へ。「劇場型SC」として11月開業を目指す
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長野県松本市の中心市街地を長年彩ってきた「松本パルコ」が、2025年2月28日をもってその歴史に幕を下ろします。
地域住民に親しまれた商業施設の閉店は、街の賑わいに少なからず影響を与えるものであり、
その跡地利用については、多くの関心と期待が寄せられていました。
この度、商業コンサルティングを手掛ける「やまき」(東京都港区)が、
松本パルコ跡地を新たな商業施設として再生させる計画を進めていることが明らかになりました。
関係者への取材によると、2024年11月のグランドオープンを目指し、最終調整段階に入っているとのことです。
「劇場型SC」とは?ライブステージ、食品フロア… 多彩な魅力で集客
2024年5月25日に開催された地元関係者向けの説明会で、やまきは、
現在の建物を活用し、「劇場型SC(ショッピングセンター)」として再出発させる方針を示しました。
「劇場型SC」とは、従来の物販を中心とした商業施設とは一線を画し、
ライブステージなどのイベントスペースを設けることで、
エンターテイメント性を高め、より多くの人々が集う空間を創出する新しい形の商業施設です。
やまきの構想では、上層階をイベントスペース、中層階を物販フロア、下層階を食品フロアとし、
さらに隣接する花時計公園も活用することで、
施設全体を人が集い、交流を深める拠点として整備する計画です。
多様なニーズに応えるフロア構成は、幅広い年齢層の集客を期待させます。
松本パルコ跡地利用を巡る経緯。市長選、市議会… 揺れ動いた議論
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松本パルコの跡地利用を巡っては、様々な議論が重ねられてきました。
2022年11月には、下層階をパルコの運営会社が手掛ける商業施設、
上層階を市の子育て支援施設や図書館などの公共施設とする計画が示されました。
しかし、2023年3月の市長選において、
この計画の再考を訴えた新人候補が現職の臥雲義尚市長に肉薄。
結果、パルコ側が「契約の見通しが立たない」として協議を中止する事態となりました。
その後、2023年9月の市議会定例会において、臥雲市長は、
「民間企業による現在の建物を活用した商業施設としての運営提案」があることを明らかにし、
新たな展開への期待が高まっていました。
中心市街地の活性化へ。井上本店閉店… 相次ぐ課題への一手
松本市の中心市街地では、
2024年3月31日に「井上本店」(深志2)も閉店を予定しており、
商業施設の相次ぐ撤退は、地域経済の空洞化や衰退を招くのではないかとの懸念が高まっていました。
このような状況下、松本市は2023年7月に臥雲市長の諮問機関
「中心市街地再設計検討会議」を立ち上げ、
パルコおよび井上本店閉店後の再活性化策を検討してきました。
今回のやまきによる「劇場型SC」計画は、
中心市街地の活性化に向けた、大きな一歩となることが期待されます。
アルピコプラザ改装の実績。やまきの手腕に期待
やまきは、松本駅前のアルピコプラザ(バスターミナルビル)の改装に携わった実績を持ちます。
今回の松本パルコ跡地再生においても、その経験とノウハウが活かされることでしょう。
再オープン後も、中心市街地に継続的に賑わいをもたらす施設として運営できるかどうかが、
今後の焦点となります。やまきの手腕に、大きな期待が寄せられています。
株式会社やまきの実績
株式会社やまきは、創業35年以上にわたり、日本全国で200以上の複合商業施設の再生事業に携わってきました。以下は、主な実績の概要です。
1980年代
- 1986: ファッションライブシアター「水戸LEAD」開発プラン着手
- 1987: 大宮駅西口再開発「JACK大宮」リニューアル開発プラン着手
- 1988: 千葉「KHMプロジェクト」商業棟アシスタントコンサルタントとして企画
- 1989: 富山駅ビル「エスタ」リニューアル開発プラン着手
1990年代
- 1991: 西武商事「新宿PePe」リニューアル開発プラン着手
- 1992: 金沢「アイゼル」リニューアルマスタープラン着手
- 1993: 「プレナ幕張」テナントリーシング着手
- 1994: 「千葉問屋町地区市街地再開発事業」商業コンサルタントとしてプラン着手
- 1997: 「ららぽーと船橋そごう」リニューアルプラン着手
2000年代
- 2000: 「高松カナーレ」「ウィントン」商業施設プラン着手
- 2003: 「熊谷グート」リボーンプラン着手
- 2005: 「成田市空港周辺土地活用基本構想」策定委託受注
- 2007: 博多市「中洲gate’s」リボーンプラン着手
2010年代
- 2010: 「池袋旧キンカ堂」開発着手
- 2013: 「水戸駅前商業施設」リボーンプラン着手
- 2015: 「札幌商業ビル」リボーンプラン着手
- 2019: 「横須賀市商業施設」リボーンプラン着手
2020年代
- 2020: 「小山市駅前商業施設」コンサルティング業務着手
- 2021: 「函館市商業施設」リボーンプラン着手
- 2022: 「京都市商業施設」再生事業プラン着手
やまきまとめ
やまきは、地域の活性化に貢献するため、商業施設の再生や新規開発において多岐にわたるプロジェクトを手掛けてきました。これからも地域に根ざした取り組みを続けていく方針です。
まとめ:新たなランドマークの誕生に期待
松本パルコ跡地に誕生する新たな商業施設は、
単なるショッピングの場にとどまらず、
人々が集い、交流し、文化を発信する、
新たなランドマークとなる可能性を秘めています。
2024年11月のグランドオープンに向け、
今後の動向から目が離せません。
この新たな商業施設が、松本の街に新たな活気をもたらし、
地域住民に愛される存在となることを願ってやみません。
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